やみらみっちゃ

土曜日。
熱帯 VOL.9『やみらみっちゃ』@下北沢駅前劇場を観に行ってきましたよ。

yamiramitcha.jpg
LOVEという概念がこの国になかった頃、
「I love you」を夏目漱石は「月が綺麗ですね」と訳したのに対し
二葉亭四迷は「死んでもいい」と訳したのだという。
文学史上稀に見るふざけたペンネームを名乗る皮肉屋の彼が
直球とも呼べる表現を敢えて選んだ大胆さに強く心を奪われる。

歴史に名を遺す人は、何らかの何かを成し遂げた人たちで
その裏側には数多の成し遂げられなかった人たちが存在する。
言文一致体で名を馳せた彼も前者だとばかり思っていた。
想像していたよりも彼の生涯は中途半端で劇的だ。

烏羽玉の《やみらみっちゃ》な演劇ができしぞや。
発展途上の皆様に捧げる熱帯版二葉亭四迷伝。
どうぞお楽しみに。

二葉亭四迷の生涯を、演劇的にひもとく2時間の舞台。

文学部を卒業していながら、恥ずかしながら「『浮雲』の作者」「言文一致体」とか、日本文学史の試験に出てくる単語程度の知識しか持ち合わせてないので、果たして楽しめるのかしらと正直不安ではありました。

しかし、なかなかどうしてカラフルな人だったのですね。

いろんな人が入れ替わり立ち替わり、彼の生涯に関わってきた文豪や、小説のなかの登場人物を演じてお話をつむいでくれます。
あらわれるキャラクターもまたカラフル。

んで「やみらみっちゃ」ってどういう意味なの?と思っていたのですが、goo辞書で調べてみたらこんな意味でした。

「やみら-みっちゃ」
[名・形動]むちゃくちゃであること。むやみやたらであること。また、そのさま。
「烏夜玉(うばたま)の―な小説ができしぞやと」〈二葉亭・浮雲〉

なるほどね。

フォーカスが当たっていないところを丁寧にすくってみたら、奇天烈でにぎやかなエンターテイメントに仕上がった、という感じ。
楽しい舞台。

お友だちが何人か出演していたので、終演後のロビーでごあいさつ。
黒川さんが熱帯で集めてくるキャストは、特徴的な声の人が多いですね。
はじめて拝見する方も何人かいたけど、みな良かったな。


ちょっくら『浮雲』読んでみようかしら。

 

1