月がとってもきれいです

夜、はらぺこペンギン!『月がとってもきれいです』@下北沢駅前劇場の初日を観に行ってまいりました。

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夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したそうな。

こんな思いを僕らは一生背負い続けるのだろうか。
17年前のある日、僕たちの人生は一変した。
全ての歯車が狂いだした。そして、それは今も続いている。
幸せを掴もうとすれば、あの黒い影が僕らを襲う。
あいつは、今、どこで、どんな名前で、どんな顔をして生きているのだろう。
笑ってるのか。泣いてるのか。幸せなのか。後悔の一つでもしてるのか。
僕らのことを、少しでも思っているのだろうか。

僕らもあいつも生きている。そして今夜も月がとってもきれい。

これは、ある事件によってバラバラになってしまった加害者家族と、
名前を変えて別人として生きている長男との、
答えの出ない「今を生きる」物語。


2011年『愛の蟻地獄』に出演させてもらって以来、メンバーのみんなとは仲よくさせてもらっているこの劇団。
先日、稽古帰りに何人かでBUDOKANに顔を出してくれたとき「今回はひさしぶりにドン暗いやつやりますよ」とのことだったので、どんなものかしらと楽しみに観る。

たしかに、ドン暗い。
扱ってるテーマが重いのだ。

けれどそれをちゃんと自分たちの世界観として消化/昇華しつつ、見ごたえのあるかたちに仕上げてました。
作・演出の白坂くんの別ユニット「Peachboys」で、中学生の妄想みたいな、馬鹿馬鹿しい方向に振り切れた作品を作ってるので、今回みたいなズシンと見ごたえあるものを自信持ってやれてるんだろうな、と。

ぺこペンのメンバーがそれぞれ適材適所に配置されていて、ゲストの人たちとうまい具合にからみあっている。
いつも開演前にニコニコしながらロビーで待っている白坂くんが今回いなかったので、どうしたんだろと思ったら今回はガッツリ役者として出ているのでした。白坂くんがまたイイ芝居するんだよ。
みんな、バックグラウンドが透けて見える役づくりを丁寧にしていて、大変よかったです。


ぺこペンはおもしろいな。いろんな角度から全力で投げてくる。
観終わったあとに「劇団ていいなァ」と思えるところは、両手はなして尊敬するのです。

骨太はらぺこペンギン!
おすすめですよ。
 
 
YAMAZAKI Kazuyuki (2014年11月26日 22:26)