penalty killing

風琴工房『penalty killing』@下北沢ザ・スズナリ、初日を観に行ってまいりました。


PK.jpg
■「penalty killing」は、(おそらく)演劇界初のアイスホッケーを題材にした演劇です

俳優・ダンサー交えた18人の男たちが、スズナリをアイスアリーナにして縦横無尽に駆け回ります。風琴工房らしからぬダイナミックな試合の表現と共に、風琴工房らしい細やかなドラマで、わたしたちが生きることの絶望と希望を描き出します。


■「penalty killing」は日光に実在するアイスホッケーチームをモデルにしています

モデルとなった日光アイスバックスは、日本で唯一のプロアイスホッケーチームです。何度も何度も廃部の危機を迎えながらも、地元のひとたちに愛され、危機を乗り越えてきました。高度成長からの経済破綻、長期不況、そういったなかで、経済はどのように人を幸福にすべきなのか、わたしたちはどのように生きて行けばいいのかを考え続けた座付き作家 詩森ろばが、アイスホッケーから世界を見つめ、人里離れた山奥に佇むアイスアリーナが実現している、地域コミュニティの可能性を描き出す、男だらけの風琴工房、最終作です。


一昨年の秋に観た『hedge』がとにかく凄く面白く、またしても男たちの群像劇シリーズということで大変楽しみにしておりました。

今回扱うテーマは「アイスホッケー」。

作品を作るに当たって、取材に取材を重ねて入念な下地づくりをするろばさんは、今回もやはり相当通いつめていたようで。
「スズナリをアイスアリーナにする」と声も高らかに宣言していたのですが、何度となく通っているスズナリがあんなことになっているの、はじめて観たよ。

ケレン味たっぷり、骨太な人間ドラマに頭がグワングワン揺さぶられる。
ひとりひとりにフォーカスが当たるとき、みんなイイ顔してんだ。
ド文系の運動音痴の自分でさえ「スティック回して叫びたいぞ」「あの台詞言ってみてェ......」というのがたくさん。
まず、アイスホッケー観戦してみたいな、と思いました。

そして肉弾系ダンスカンパニー「ビルヂング」の加藤紗希ちゃんを振付に迎え、激しいボディコンタクト満載のダンスがさらに熱を。
かわいい笑顔で相当スパルタな稽古場だったとか。

相当削りまくってるよ。
みんな満身創痍で。
これ1日2ステージとか、身体もつのかと心配になるくらい。


稽古のあいだは、男たちが持ち回りで炊き出しをやっていたそうで、美味そうな男子めしの写真がSNSにアップされていました。
そんな合宿みたいな空気が、そのままチームの連帯感となって舞台に乗ってました。
すばらしいことですよ、ほんとうに。


鼻息荒く、興奮さめやらぬままに殴り書いてるので、ツルッツル筆がすべる今日の感想文。

ああ。
すごいの観たよ。
あの熱量、魂の雄叫び。見逃すまじですよ。




GCGM vol.05

なじみのお店、西荻スイッチの楽しい宴「Good Curry, Good Music」が、今年もいよいよやってまいりました。


GCGM05.jpg
美味しいもの好きの常連さんたちが集まって、それぞれの自慢のカレーをふるまうこの集いも、今回でもう5回目。

2012.02.19 vol.1では「プレーンタモリ」。
2012.07.08 vol.2では「砂肝とひよこ豆のカレー」。
2013.07.28 vol.3では「チャナダル」。
2014.06.15 vol.4では「ざく切りトマトとラムのカレー」。

今回は何カレーで参戦しようかな、としばらく考えてたのですが、ARENA肉フェスでおなじみのヤスオさんから、スーパーではなかなか手に入らない豚タンブロックを購入して、昨日のうちに仕込んで朝に仕上げて臨みます。
今回も素敵なフライヤーが出来て、気分は高まります。
あれ、Tシャツにしてほしい。


それでは、恒例のカレーのレポートを。

GCGM05_01.jpg
1.おしみ&ぐっさん作、グリーンカレー。
フォーが入った、GCGMはじめての麺タイプ。
直前に「フォーだよ、スプーンだと食べにくいよね」「おはしがないよ!」とあわててコンビニに買いに走ったのもご愛嬌。
味わい深い本格タイカレー。鶏肉がやわらかジューシー。
フォーを食べたあとにはもちろんライスをドボンして、二度おいしい。

2.市川さん作、ビーフインドカレー。
牛すね肉がとっても柔らかい、コクがあってまろやかなカレー。
ケンタロウさんのレシピで、くるみやカシューナッツが秘訣とのこと。じわじわ美味い、ずっと食べてられる飽きない味。

3.相澤さん作、チキンカレー
毎回ブレずにど真ん中を攻める、横綱の貫禄たっぷりチキンカレー。
「美味さの波が3回来る」との名言がとびだす。たしかに。
食べ終わって感想を話してるときに4回目、写真見ながら思いだしてる今、5回目が来ました。

4.ぐんぐん作、3種の豆カレー
優しい味わいの濃厚豆カレー。それでいてしっかりスパイシー、流石のスパイス王子。
ダルですね。ダル大好き。
相澤チキンと合わせて食べたい。

5.山にょ作、スパイシータンカレー。
豚タンブロックの先のほうは厚めに切ってトロトロ煮込み、根元のほうは薄切りにしてソテーしてコリコリ、2種の食感を楽しむカレーにしてみたよ。
これまではわりとみんなが楽しめる感じの辛さにしてみたけれど、今回はちょっと攻めて、にんにくと生姜を効かせたパンチのある味わい&辛さにしてみました。


GCGM05_02.jpg
6.キンキン作、サグパニール。
ほうれん草とチキンのカレー、自家製パニール(インド風カッテージチーズ)が大変美味。
牛乳と生クリームとお酢で作ったというパニールには、蜂蜜とブラックペッパーをかけていいデザートに。ナイスパニール!

7.今関さん作、ナッツカレー。
これまでカレーは出品するけど宴には来れなかった今関さんが、満を持してのフル参戦。
いろんなナッツをペースト状にして煮込んだカレー。
最初の口当たりはフワッと甘く、後から辛さが追っかけてくる。キュッとしぼったレモンがいい感じのアクセントに。

8.宇佐美さん作、チングリマライ(エビカレー)とチャナマサラ
「ち、チングリマライ?」と何度か聞き直した、呪文のような名前のエビのココナッツカレーと、ひよこ豆のカレーの2種。
思いのほか食べ手が集まり、エビの数が足りなくなったため、レディファーストということになったのですが「記録用にお願いします!」とダダこねてもらっちゃいました。てへ。
エビがプリップリ、チャナマサラとの相性もバッチリ。いずれも本格派ですな!

9.福ちゃん作、麻婆カレー?
いちばんの変わり種が大トリに。
事前にカレーの名前を聞くと「『麻婆カレー?』と、?マークもつけてください」とのことでした。
見た目は完全に麻婆豆腐だけど、味わいはしっかりカレー。クミンが効いてます。白めしにのっけて丼でワシャワシャ喰いたい。


GCGM05_03.jpg
その他、サイドメニュー。
10.さいとうさん作、玉ねぎのアチャール。
ピリッと辛くてスパイス香る、インドのお漬け物的な玉ねぎのアチャール。
どのカレーとも合いますね。これ作ってみよう。

11.山にょ作、ひよこ豆のサラダ。
カレーの名店「エチオピア」のレシピを真似たサラダは、ひと晩水で戻した2種のひよこ豆を、ツナ・レモン汁・塩コショウとカイエンペッパーで味つけした簡単メニュー。青ねぎを散らすの忘れた。
箸休めにちょうどよい。

写真は撮りそびれたけれど、ゆりちゃんお手製のほんのり甘い、ひとくちサイズのプチパンもとってもかわいらしくて美味。キンキンのパニールと一緒に食べたい。


やあ、今回もまたバリエーションに富んで大変美味しゅうございました。
回を重ねるたびにどんどん進化/深化してますね。
いや、ホントいい宴ですよ。
次は夏かな。楽しみだな。


みんなのカレーのことを夜に思いだしていたら「カレーがイヤな記憶を吹き飛ばすという実験結果 ストレス解消、うつ病へ」というニュースがTwitterに流れてきて、タイムリーさに笑った。

カレーLOVEなわけだよ!

 
 

ショート・ターム


MUの『少年は銃を抱く』の稽古をすすめるにあたって、演出のアユムくんから「「ティーンの繊細さ」「銃と学校」のふたつの軸においてよければ見て欲しい映画がございます」ということで、いくつか課題の映画を紹介してもらった。


そのなかで、いま公開中の『ショート・ターム』がもうすぐ上映が終わってしまいそうなので、あわてて観てきました。
先日、今年の6月をもって閉館するとの発表があったシネマート六本木で。
なかなかいいセレクションをする映画館が、またひとつなくなってしまう。
本当に切ないことだよ。


shortterm12.jpg
物語の舞台は、ティーンエイジャーをケアするシェルター"ショート・ターム"。ここで働く20代のケアマネージャー、グレイス(ブリー・ラーソン)と、同僚でボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)。子供が出来たことをきっかけに、二人の将来はささやかならがも幸せなものになるかと思われました。でも実は、グレイスの心には、たったひとりの信頼できる彼にも打ち明けられない、深い深い闇が横たわっていたのです。そんなグレイスの心を次第に開いてゆくのは、やはり同じように心に傷を負ったショート・タームの子供たちと、新しく入所してきた、頭が良くて優しい少女ジェイデンや、ストイックでまっすぐな少年、マーカスでした。彼らはみな、親からの虐待やネグレクト、いじめを経験し、心を閉ざしてしまったこどもたちです。

誰もが心に悲しい傷を負っているけれど、ここに暮らす子供たちはみんな、心優しくて繊細な少年少女ばかり。そんな彼らのひたむきな生き様を見ていると「ひとりぼっちで生きるのではなく、大切な人と一緒に、明日を生きることが喜びなんだ」と気づかせてくれます。大きくて温かな愛に包まれた『ショート・ターム』は、きっとあなたも大好きな人と共有したくなる、穏やかで柔らかい感動のものがたり。スクリーンから、かつてない「ぬくもり」が溢れ出してきます。


心に傷を抱えたティーンズたちと、それを取り巻く大人たち。
温かく見守って、なんとか子どもたちを闇から救い出そうと手を差しのべるのだけれど、逆に救われているのは大人たち。
そういうこと、あるんだよな。

痛みに揺れ動く心のさまをとっても丁寧に描いていて、大変すばらしい。
子どもたちがみんなすごくよかった、なぁ。ジェイデン役の女の子とか。


もしかしたら自分ではノーマークで観なかったかもしれない作品なので、こうして観ることができて本当によかった。
アユムくん、ありがとうだ。
他の課題作品もTSUTAYAでレンタルしてきて観てみよう。

2015年は、自分の好みに偏ることなく、いろいろな作品を幅広く観て行こうと決めたのでした。
なので「今映画館でやってるコレ、オススメだよ」等あったらどんどん教えてほしいのですナ。