NYMPH()MANIAC

ラース・フォン・トリアー監督の新作『ニンフォマニアック』のVol.1とVol.2を、早稲田松竹で連続上映しているとのことで、どちらも観逃していたので観に行く。

最終日ということもあったけれど、金曜日の昼間だというのに立ち見が出るくらいの大盛況。

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性的にむき出しのドラマであり、色情狂を自認する女ジョーの誕生から50歳までのエロスの旅をあつかう。
寒い冬の夜、年配の独身者セリグマンは裏路地でぶちのめされたジョーを見つける。セリグマンは彼女を家に連れ込んでケガの治療をし、彼女の人生について尋ねる。ジョーは高度にエロティックな人生についての淫欲にまみれた物語を8章にわたって語る。セリグマンは読書家でいろんな知識を持っている。彼はジョーの物語を、本で読んだことに関連付けてゆく。
話は二巻・8章に分けられ、「第一巻」では若いジョーをステイシー・マーティンが、「第二巻」では後半生をシャルロット・ゲンズブールが演じる。
第一巻
「コンプリートアングラー」
「ジェローム」
「ミセスH」
「せん妄」
「リトル·オルガン·スクール」
第二巻
「東方教会と西方教会(サイレントダック)」
「鏡」
「銃」

性に対する好奇心旺盛だった少女が、成長していかにセクシャリティと向き合ってきたかを語るおはなし。
自分も小さいころからエロに対しては過敏ではあったけれど、その発露の仕方がわからないままずっとこじらせて悶々と生きてきた性質なもので、いろいろ考えさせられました。

わたしにとって、エロってなにかね。
愛ってなにかね。


5時間半、めくるめく官能の世界に目と下半身を鷲掴みにされつつ、ところどころリズミカルに挟まれる艶笑の描写に振り回され、そして最後の幕の引き方に痺れた。

マジかよ......マジでかよ!
お、オイ!

話の構造的に『編集王』の"明治一郎篇"をふと思いだす。
あれもまた非常に心に刺さったエピソードだったのですが、明治一郎が自分の生きざま、性の遍歴を回顧して

"エロ"で誰かが傷つくのは知っていた。
誰かを必ず傷つける玩具を......
俺はなぜここまで大事にしていたんだろう。

と心のうちを吐露していたな。
ちょっとあらためて読み返したくなりました。


前情報をほとんど入れずに観たので、クリスチャン・スレーターやウィレム・デフォーなど「え、この人も出てんだ」というキャストがいろいろ。

Mrs.H役のヒステリックな婦人がすげえ面白いな、と思っていたらユマ・サーマンだったのね。印象が全然違って気づかなかった。
あとサディスティックな手ほどきをする謎のハンサムは『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベル。いい男に育ったのだね。

若い頃のジョーを演じたステイシー・マーティンの体当たりっぷりが大変すばらしかった。麗しいおっぱいだったなァ。
しみじみ。


あと余談ですが、Vol.1とVol.2の合間にタバコを吸いに出たら、知り合いにバッタリ遭遇。
「なんか......照れますナ」と男2人でニヤニヤしたのでした。

 

YAMAZAKI Kazuyuki (2015年2月13日 17:32)