演劇が、好きだ。

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きもちの鮮度が落ちないうちに。

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さよなら宇田川町『ライラック』おかげさまで大盛況のなか無事に終幕。

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千穐楽のステージが終わったあとの打ち上げは、この3月いっぱいをもって閉店するという、スタジオすぐ近くの和民で朝まで呑みました。
まさに「さよなら宇田川町」の打ち上げにもってこいの店。

そして衣装や差し入れなどがギッチギチに詰まったバックパック背負って6時ころの電車で帰ったんだけど、最寄りの駅を寝すごしては戻り、また寝すごして......と繰り返し、家に帰ってきたのが8時半すぎ。
「千穐楽明けによくやるヤツだ、懐かしいな」とセンチなことも思ったりしたけど、考えたらBUDOKANの夜勤明けにもちょいちょいやってる。

さて。

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今回の役どころは、『ホンマでっか!?TV』などのメディアにもタレント気取りで露出しちゃったりする、胡散臭くてキザな精神科医・広瀬慎次でした。
「特定の記憶だけを消す」という、一種の催眠療法のような独自の治療法が話題になって著書もヒットしたけど、実は一回も成功したことがなかったことがバレてバッシングを受け、転落していくという。
面白い人物だったなあ。
スケベ医師。

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台本に書かれてない裏の設定みたいなのをふくらませる作業が楽しかったし、るい乃ちゃん演じる患者・浜崎に、著書にサインを求められる場面の小道具として、あんどうくん役の安藤理樹くんに相談したら、最高のブックデザインをしてくれた。
ISBNが公演期間の日付になってるという細かい仕掛けまで。お客さんには伝わらないこういう遊びごころ、スゲエ大好き。
これ、ジュンク堂に平積みされてるワ。そしてのちにブックオフの100円コーナーにあふれるワ。

4つの部屋が舞台の9人の登場人物は、いずれも魅力的だけどなかなか一筋縄ではいかないキャラクターばかりで。
それぞれ苦労したりもしていたけれど、ねばり強く緻密に会話を織り上げていく稽古と、お客さんの反応を受けて変質しつつ熟成していく本番が、実にしびれました。
まあ、ずっと笑ってた日々。

そもそも劇場空間ではない事務所のスタジオを使っての舞台ということもあって、なかなか大変なこともありました。
下のフロアのダンススタジオから伝わってくる騒音と戦いながらの本番だったり。
舞台に立つようになって20年以上になるのだけど、今回はじめて暗転板付きでミスった。そりゃまあ凹みもしましたが、それだけ完璧な暗転空間を作った舞台監督の高木さん・粂川さんの手腕を讃えるべきだと思うんス。

あと冒頭の場面は演出の都合上、開演時間に間に合わなかったお客さまの入場をお断りしていたのですが。
制作の塩田さんが入り口でお待ちいただいてるお客さまに「いま、外村さん演じる果穂が〜」と、チラシの写真を見せながら状況を説明してくれていた、と打ち上げの席で聞いて感激した。素敵すぎるぜ。

連日のアフターイベントには錚々たる顔ぶれのゲストの方たちに来ていただき、それぞれの読みとったものがたりを語っていただけたのが大変面白かったです。
「そこそこ!  よくぞお気づきで!!」という細かい仕掛けを拾ってくださったり。ビール片手に30分、ガッツリと。
そもそもどう転ぶのかわからないような企画に、お忙しいなか時間を調整してご参加いただいて、本当に感謝してもしきれない。
このご恩は必ずや、撮影や舞台の現場でお返しできたらと切に願います。


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皿の上警察でもいっしょにイベントをやっている泉くんに「山ちゃんの劇スイッチ入ったところをはじめて見た」と言われた。
たしかに、今回いつも以上に入ってたかも。
劇スイッチ。
引き出しの中身全部ひっくり返して、使えるものは全部使った。
たぶん後にも先にもここまで体重乗っけた公演はないかもしれない、てくらい。
しびれました。

開演前の楽屋で円陣組んで、「演劇が、好きだー!」とダサいコールをしてたんですよね。毎ステージ。
MU『狂犬百景』のときにちょっと流行ったのを思い出して、はじめは冗談のつもりでやってたんですけど。だんだん慣れてくるもんで、最初の照れくささみたいなのがだんだん麻痺してきた。こわいね。
でもやっぱりいま思うんすわ。

演劇が、好きだ。


ご来場いただいた皆さま。
舞台を支えてくださったスタッフの皆さま。
アフターイベントのゲストに来てくださった古澤さん・木村さん・喜安さん・瀧川さん・中野さん・筧さん。
我々のわがままに応えて、いろんな角度からバックアップしてくれたECHOESの鈴木社長、信國マネージャー。
『ライラック』というこの作品を紡いで、導いてくれた河西くん。
頼もしく愛おしい共演者のりっくん・トムちゃん・郁ちゃん・きむらくん・るいのちゃん・ひかりちゃん。
そしてプロデューサーとして企画を立ち上げ、ひっぱってくれた泉ちゃん・竹ちゃん。

おかげさまで、忘れ得ぬ作品になりました。
ありがとうございました。


またいつか、あの物語のなかで会える日を心待ちにしています。



宇田川町スタジオだより

話は2017年の10月10日にさかのぼります。

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下北沢のバーBUDOKANで働いてるときに、泉くんと竹内くんが呑みに来て。
「このツーショットめずらしくない?」と話を聞くと「今度いっしょに組んで舞台やろうと思うんです」と。

なにそれ、面白そうじゃん。

皿の上警察のイベントなどで泉くんと会うと、ときどき「泉竹内の企画、その後どうなった?」と進捗を聞いては、おれも出たいなアピールをくり返した。
当初、泉と竹内以外はみんなECHOES以外の人たちに声をかける案で動いていたらしいのだけど、年末くらいに「ECHOESの仲間たちで固める」という方向になったとき、泉くんから「山ちゃん、やる?」と訊かれ「やる」と即答したよね。食いぎみで。

そこから、泉と竹内が意見の食い違いで殴りあいのケンカになった事務所の新年会や、安定と信頼の保坂カメラマンにお願いした宣伝写真の撮影、「明日の山ちゃん誕生日だけどさ、サプライズどんなのがいい?」と泉に訊かれるという新しいタイプのサプライズバースデー、ようやく全員集合しての決起集会焼肉などを経て、気がつけば本日が最終稽古。

大詰めています。

河西くんはいつもそれぞれの役者にフィットしたキャラクターを当て書きするそうで。自分はいけすかないキザな精神科医の役なのですが、はじめての本読みのときに「やあ、いいですね山崎さん。いるいるこういうヤツ、すげー嫌い」とお褒めの言葉をいただきました。当て書き......?

公演をやる事務所のスタジオは、広くて面白い空間なのだけど、9人のキャスト+50人のお客さんというのははじめての試みになるので、かなり手さぐりで進めている。
そして自分たちで企画・運営しているため、この歳になってひさしぶりにチラシの折り込みに行き、足りない小道具を探してハンズとドンキの往復し、仕込みのお手伝いしてくれる人手を確保し、当日パンフレットに載せるテキストをまとめるなど、20-30代のころベターポーヅという劇団に所属してたときこんな感じだったなと思いだし、なつかしさを噛みしめると同時に、培ってきたこの20年ちょっとの経験を総動員してる感がある。使える道具、ぜんぶ使うよ。
今回座組の最年長ということもあり、リードできるところはグッとひっぱっていこうと思ったりしてるのだけど、結果的に空回りしてポンコツな感じになっては、最年少22歳の中村くんにドンマイされたりする日々。
「山にょさんすごいですね、稽古場でいちばん笑われてますよ」
と、るい乃ちゃんの悪意のないことばが染み入るぜ。

ああ、なんだか今。
すごく楽しいんですよ。

演劇、なあ。

とはいえ作品の完成度はまだまだなので、今日最後の稽古でどこまで詰められるか。
シビれるぜェ。


おかげさまでチケットの売れ行きも好調で、前半と土日祝のマチネはずいぶん残り少なくなってきました。
そして古澤健さん(20日)・木村☺︎ひさしさん(21日夜)・喜安浩平さん(22日)・筧昌也さん&瀧川英次/赤ペン瀧川さん(23日)・中野量太さん(24日)と、なんとも贅沢なゲスト陣をお招きしてのアフターイベントもございます。
ぜひ、観にいらしていただきたいのです。

ご連絡いただければチケットご用意いたしますゆえ。

こちらの予約フォームもご活用ください。

では、稽古に行ってきます。


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