「12人の優しい日本人を読む会」
4月29日のことだったかと。Twitterのタイムラインに、近藤芳正さんのこんなツイートが流れてきた。
『拡散希望』
急遽 #12人の優しい日本人 読むことになりました。無料生配信です。https://t.co/P2PCEShguC pic.twitter.com/ywFvN0vvM8
-- 近藤芳正 (@goensai) April 29, 2020
このたび、三谷幸喜氏の傑作会議コメディ『12人の優しい日本人』を、特別に許可を得てリモートで読み合わせ、それをYouTube Liveで生配信する会を開催することになりました。
出演は1992年東京サンシャインボーイズでの上演版のオリジナルキャストを中心に、吉田羊、Prayers Studioの妻鹿ありか、渡部朋彦を加えた豪華メンバーでお届けします。
演出は三谷幸喜フリークの若手演出家・アガリスクエンターテイメントの冨坂友。
「#StayHome」「#家ですごそう」な状況の5月6日、ぜひご自宅でお楽しみください!
マジかよ......!?
東京サンシャインボーイズのオリジナルキャストが集まったということがまず驚き。このメンツの顔合わせが見られる機会なんて、そうそうないぞ。それも無料生配信って。
そして屁理屈シチュエーションコメディ劇団・アガリスクエンターテイメントの冨坂さんが演出というのもまた胸の熱くなるポイント。
小劇場界隈の仲間たちがこのニュースにザワついていた。
アーカイブもしばらく残るということではあるけれど、これはオンタイムで観ねばでしょう、と画面の前に正座して待機。
まだご覧になっていない方は、まずは観ていただきたい。
東京サンシャインボーイズの舞台版は残念ながら観てはいないけれど、中原俊監督の映画版を大学生のころにはじめて観て、衝撃的な面白さにその後何度も観た。緻密なストーリーの展開に唸らされ、12人の陪審員たちの個性にグッときたのですが、なかでも陪審員12号役を演じた加藤善博さんの、ちょっとキザで胡散臭いんだけど人間味あふれる人物像がとても好きだったのです。
20代なかばくらいのころに、友だちが働いている中目黒のバーに行ったとき、その加藤さんとたまたまカウンターの隣になったことがある。もうずいぶん前の話なのでおぼろげな記憶ではあるが、友だちに紹介してもらい「陪審員12号の役がすごく好きなんです」と伝えたら喜んでくださり、まだ年端もいかない若造と気さくにお酒を酌み交わしてくださった。
その後しばらくして、自殺で亡くなったというニュースを読んだのは2007年のことだった。まだ48歳だったという。
この読み合わせを観て、映画のシーンが頭のなかにたちのぼり、加藤さんの姿や台詞回しが浮かんだ。自分の目指す・あこがれる演技スタイルのなかに加藤さんがいるんだな、ということをふと思った。飄々としてとらえどころがないけど、ぶれない芯があって艶っぽい、みたいな。
しかし、つくづく贅沢な企画であったな。相島一之さんの熱量や宮地雅子さんとのやりとり、西村まさ彦さんの渋さと軽やかさなどに痺れた。オンタイムで15,000人もの人たちが観ていたとか。YouTubeのチャットのスピード感など見ていたら、エンターテイメントの歴史に残る事件に立ち会った感がありました。あれを観て「劇場に行ってみたい」という人が増えたのであれば、本当に素敵なことだと思う。
このコロナウィルスの影響下、舞台や映画が観られないフラストレーションに加え、エンターテイメント業界全体の危機的な状況と、それに声をあげる人たちに対する理不尽な風当たりの強さに心がクサクサする日々のなか、本当に胸が熱くなった。
演劇を、映画を楽しみたい/楽しませたいというきもちを、すり減らせてはならぬ。
サバイブしていこう。
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4月29日のことだったかと。
Twitterのタイムラインに、近藤芳正さんのこんなツイートが流れてきた。
『拡散希望』
-- 近藤芳正 (@goensai) April 29, 2020
急遽 #12人の優しい日本人 読むことになりました。無料生配信です。https://t.co/P2PCEShguC pic.twitter.com/ywFvN0vvM8
このたび、三谷幸喜氏の傑作会議コメディ『12人の優しい日本人』を、特別に許可を得てリモートで読み合わせ、それをYouTube Liveで生配信する会を開催することになりました。
出演は1992年東京サンシャインボーイズでの上演版のオリジナルキャストを中心に、吉田羊、Prayers Studioの妻鹿ありか、渡部朋彦を加えた豪華メンバーでお届けします。
演出は三谷幸喜フリークの若手演出家・アガリスクエンターテイメントの冨坂友。
「#StayHome」「#家ですごそう」な状況の5月6日、ぜひご自宅でお楽しみください!
マジかよ......!?
東京サンシャインボーイズのオリジナルキャストが集まったということがまず驚き。
このメンツの顔合わせが見られる機会なんて、そうそうないぞ。
それも無料生配信って。
そして屁理屈シチュエーションコメディ劇団・アガリスクエンターテイメントの冨坂さんが演出というのもまた胸の熱くなるポイント。
小劇場界隈の仲間たちがこのニュースにザワついていた。
アーカイブもしばらく残るということではあるけれど、これはオンタイムで観ねばでしょう、と画面の前に正座して待機。
まだご覧になっていない方は、まずは観ていただきたい。
東京サンシャインボーイズの舞台版は残念ながら観てはいないけれど、中原俊監督の映画版を大学生のころにはじめて観て、衝撃的な面白さにその後何度も観た。
緻密なストーリーの展開に唸らされ、12人の陪審員たちの個性にグッときたのですが、なかでも陪審員12号役を演じた加藤善博さんの、ちょっとキザで胡散臭いんだけど人間味あふれる人物像がとても好きだったのです。
20代なかばくらいのころに、友だちが働いている中目黒のバーに行ったとき、その加藤さんとたまたまカウンターの隣になったことがある。
もうずいぶん前の話なのでおぼろげな記憶ではあるが、友だちに紹介してもらい「陪審員12号の役がすごく好きなんです」と伝えたら喜んでくださり、まだ年端もいかない若造と気さくにお酒を酌み交わしてくださった。
その後しばらくして、自殺で亡くなったというニュースを読んだのは2007年のことだった。
まだ48歳だったという。
この読み合わせを観て、映画のシーンが頭のなかにたちのぼり、加藤さんの姿や台詞回しが浮かんだ。
自分の目指す・あこがれる演技スタイルのなかに加藤さんがいるんだな、ということをふと思った。
飄々としてとらえどころがないけど、ぶれない芯があって艶っぽい、みたいな。
しかし、つくづく贅沢な企画であったな。
相島一之さんの熱量や宮地雅子さんとのやりとり、西村まさ彦さんの渋さと軽やかさなどに痺れた。
オンタイムで15,000人もの人たちが観ていたとか。
YouTubeのチャットのスピード感など見ていたら、エンターテイメントの歴史に残る事件に立ち会った感がありました。
あれを観て「劇場に行ってみたい」という人が増えたのであれば、本当に素敵なことだと思う。
このコロナウィルスの影響下、舞台や映画が観られないフラストレーションに加え、エンターテイメント業界全体の危機的な状況と、それに声をあげる人たちに対する理不尽な風当たりの強さに心がクサクサする日々のなか、本当に胸が熱くなった。
演劇を、映画を楽しみたい/楽しませたいというきもちを、すり減らせてはならぬ。
サバイブしていこう。
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