明け星の頃には 〜セロ弾きのゴーシュ〜


観劇ダブルヘッダーの日。

ずいぶん前に行ったことがある劇場だけど、びっくりするくらいにどこにあるのか憶えてなかった。目白駅からけっこう歩くので、方向音痴としては非常に不安になりながらも劇場に到着。


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『ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。
けれどもあんまり上手でないという評判でした。
上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、
いつでも楽長にいじめられるのでした。』

 ・・・・・・・ 

今日もまた夜が来て、
そうして黙っていても夜は明けるのだ。
朝日が明日を連れてくる、すこしだけ前、
割れた窓ガラスの隙間から見えるあの、
金星の光に、僕はなりたい。


フッと心があたたまる、素敵な作品でありましたよ。
宮沢賢治、ひさしぶりに読み返してみたくなる。
照明のつかい方がとても効果的で、美しいあかり。
舞台観に行って「照明よかったよ」と言われると「じゃあ芝居は今ひとつだったのかしら」なんて勘ぐってしまいがちですけど、もちろんお芝居もとてもよかったのですよ。

ワークショップでご一緒して仲良くなった、宍戸さんの酔いどれシングルマザーがなかなか奥行きのある感じで素敵。声がまたイイんだな。
終演後にご挨拶したらお菓子くれたよ。
わいー。

 

おるがん選集3


昼から高円寺へ。
高円寺に来たので、徳島中華そばの店JACで昼ごはん。そういえば前に食べたのも風琴工房の芝居観に行ったときだったな。ろばさんも好きだというこのお店。今日も安定の美味さ。
こんどつけ麺も食べてみよー。


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文学を見る、演劇を読む
 
「おるがん選集」は、文学を演劇にする企画です。
これまで、横光利一、永井荷風、太宰治など日本の小説や
カフカ、モーパッサンなど海外文学など、
様々な文学作品を場所とひとに宛て戯曲化して参りました。
三回目となります今回は、
中野と高円寺のあいだの住宅街にひっそりと建つ、
古い平屋の一軒家にて、
第一回にも上演し好評を得た鷺沢萠の「痩せた背中」、
そして、今回の新作となります川上弘美の「物語が、始まる」、
現代作家の作品二編を上演いたします。
どちらの作品も、中央線の走るこの町にふさわしい、
切なく、少しだけ歪んだ恋の物語です。


高円寺と中野のあいだにある古民家で。
二本の短編作品を、客席の向きを変えてちがう角度から観る。
てのひらのうえで丁寧に丁寧に編み込まれた、あたたかく切ないお話。
カラッとしつつも濃密なやりとりに唸る。
唸るよ。
照明や音響もなく、とてもシンプルなだけに伝わってくる出演者の息づかい。
外から聞こえてくる犬のほえる声や、窓からさす日差しも含めて、空間全体がひとつの作品になっておりました。
ずっと観ていたい、居心地のよい空気。
ろばさんが作るベジタリアンごはんがつくステージもあったそうなのだけど、ぜひ食べてみたかったよ。

あと、ろばさんの好みのタイプの女性が、自分のツボとドンピシャなんじゃなかろうか、と思うのだ。
そして喪服の女性に弱いのだ。

 

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