こっぴどい猫


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夜、レイトショーで今泉力哉監督『こっぴどい猫』観てまいりました。


『その無垢な猫』という代表作をはじめ、寡作ながらも小説を発表してきた作家の高田則文(モト冬樹)は、妻に先立たれてから一切小説を書いていない。

しかし、自分を慕う後輩作家の安藤(内村遥)は今やテレビに出るような人気作家へと成長、娘の夏子(小石川祐子)も結婚、息子の崇(平井正吾)もできちゃったながら結婚が決まり、高田自身も行きつけのスナックのママから「この店で先生の60歳の誕生パーティーをやろう」と提案されるなど平和な日々を過ごしていた。そんなある日、「奥さんがいる人とばかりつきあってしまう」「求められると断れない」という女の子・小夜(小宮一葉)と出会う。小夜から「恋愛相談に乗ってほしい」と言われた高田は彼女の家を訪れるが...。

2人の、そして高田の子供たちの恋愛の行方は?
そして60歳記念誕生パーティーは無事に開催されるのか...?


とにかく真っ当な人がひとりもいない、恋愛の向かってる矢印の方向がとっちらかりつつも収斂していく群像劇。
表向きは淡々としているように見えて、薄皮いちまいの下でドロドロとうごめいている人間模様。

おもしろかったなぁ。

キャストがみなさん、とても素敵。
みんなを惑わせるファム・ファタール的な小夜ちゃん。あの黒髪ロングのツンとした猫っぽさ、あれ身近にいたらまんまと転がされてるワ。
この夏『演劇100人組手』でご一緒した高木珠里さんがスナックのママ役で、『AKAT村の狼』でさいごに大逆転をかました三浦英くんがダメ亭主役で。どちらも素晴らしいね。演技のフィルターかけつつも、人柄が見え隠れして魅力的。

そしてなにより、主演のモト冬樹さんの圧倒的な説得力。
ダメな人ってどうしてこうも艶っぽいんでしょうな。

いよいよ今週の金曜日まで、新宿K'sシネマにて。
観に行ったらいいと思うのです。




 
YAMAZAKI Kazuyuki (2012年8月27日 22:38)