hedge


またここしばらく日記をためこんでしまってるのだけど、これはちょっと興奮さめやらぬうちに書いとこう。


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風琴工房code.33『hedge』@下北沢ザ・スズナリ、観てきまして。

観た人観た人が口々に絶賛していたこの舞台。
詩森ろばさんの作品を観るのは1月の『国語の時間』、5月の『おるがん選集3』に続いて3本目になるけれど、いずれも原作のあるものだったので、書きおろしの作品を拝見するのははじめて。


「リスクヘッジ」という金融用語があり、 
それは「リスクを回避」するという意味です。 
どんな投資をするときも、リスクをヘッジすることが肝要となります。

ヘッジファンドは 
市場経済が落ちているときにも利益を上げることができる手法として、
すなわち市場経済の「リスクを回避する」手段として生まれました。
しかし、ご存知のように2008年の金融危機は、 
無理なヘッジファンドの構築とそこに対しての過剰投資から起こりました。 

その「ヘッジ」という言葉をタイトルにした今回は逆説的に、 
どんなに優れたコンピュータを駆使しても回避できない
わたしたちが生きることに伴うリスクについての物語です。


11人の男たちが紡ぐ、本格的金融ドラマ。
金融のこととか正直あんまりわかんないけど楽しめるのかな。
硬いな、堅いな、と身構えて席に着く。

が。
ものの数分でグイッグイひきこまれまして。


冒頭から、包丁の背で叩いて食べやすくしつつも、旨味と歯ごたえはしっかり残すような演出。
料理好きのろばさんが「この食べにくい食材をどう美味しく食べさせようか」とワクワクしている感じがビンビン伝わってくる。
緻密で念入りな下調べをしているからこそ、なんでしょうな。

映像、美術、照明とどれもほんとにすばらしい。
ナゾの壼みたいな楽器を使っての、青木タクヘイさんの生演奏も本当にかっこよくて、それだけ観ていたいくらい。
贅沢。
すこぶる贅沢。


正直、これ観た同世代の男の役者はみんな歯ぎしりしてると思うのですよ。
おれもあんな骨太な人間ドラマ、やりてえよ。
11人がみんな、本当に魅力的だったもの。
スーツをサッと着てえよ。
ドアをバタンと閉めてえよ。


観たあと、友だちとちょっとごはん食べようと「山角」へ。マチネとソワレのあいだに出演者のみなさんもぞろぞろとやってきた。
ろばさんも来たのでいっしょにテーブルを囲む。

ああだこうだと感想を口々に話したりして、20時からBUDOKANへ。
話し足りない続きをまたここで。


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[今夜のおつまみ]
茄子ときのこのトマト豆煮込み。
たまねぎ、しめじ、エリンギ、ウインナー、チャナ豆をホールトマトで煮込む。
冷めても美味しいこのつまみ、ピクニックにもよく持っていったりするのですけれど、ちょうど昨日までの台風一過ですっかり秋の気配になった夜にちょうどいい。
クミンシードとチリペッパーを効かせて。
ソフィーのパンもつけて。


ソワレの公演を観たあとのいろんな人がかわるがわる立ち寄ってくれて、「ホント面白かったねえ」とそれぞれの感想を聞く。
個人的に誰が素敵だったかとか、あそこの演出が好きとか。
旦那さんと一緒に観に行った友だちが「あのスーツに着替えるところに痺れた!」と興奮さめやらぬ口調で語るとなりで、「おれも毎朝着替えてるんだけどね......」とつぶやいていたのがおもしろうございました。

やー、スズナリ前のバーで働く楽しさを十二分に楽しんだ夜でした。

 
YAMAZAKI Kazuyuki (2013年9月17日 22:59)