もらとりあむタマ子

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夜、吉祥寺バウスシアターで『もらとりあむタマ子』を観に行ってまいりましたよ。まわりの友だちがこぞってオススメしていたので気になっていたのだけど、今週の金曜日で終わってしまうというので慌てて。


東京の大学を卒業したものの、父がスポーツ用品店を営む甲府の実家に戻ってきて、無気力な日々を送るタマ子。「就職活動してるのか?」という父の言葉に「その時が来たら動く。少なくとも今ではない!」と威勢がいいのか悪いのかわからない啖呵を切るが、秋から冬、そして春から夏へと季節が移りゆく中、タマ子の気持ちにも少しずつ変化が現れていく。履歴書を書き、就職への意欲を少しだけのぞかせるようになるタマ子。そんな矢先、父に再婚話が持ち上がり、彼女の心は激しく揺れる――。口を開けばいつも言い合いばかりしている父と娘。でも本心では、父は奔放な娘を愛しく思い、娘は不器用な父を思いやっている。モラトリアムな毎日を過ごすタマ子が、ゆっくりと新しい1歩を踏み出す四季の物語は、観る人をあたたかく穏やかな気持ちで包んでくれる。


最初のほうのシーンで、昼ころにのそのそ起きてきて、レンジでチンしたロールキャベツを、サランラップもちゃんと取らずにむさぼり食ってる感じで、もう、やられた。

父親と家で食事をしながら話す距離感。
近所の中学生と話す距離感。
帰省した同級生とバッタリ会ったときに話す距離感。
父親と親しくしている女性と話すときの距離感。

一貫してダサくてダメなんだけど、距離感によっていろいろ変わるタマ子の話し方と仕草がとてもチャーミングで、たぶん終始ニヤニヤしながら観てたんじゃないだろか。
前田敦子ちゃん、AKBにいるときはまるで関心を持ったことなかったのだけど、『苦役列車』でちょっとイイなと思い、この作品ですっかり好きになっちゃったよ。
お父さんとケンカになったとき、興奮しすぎて何て言ってるのかわからないところとか、大笑いしちゃったよ。

魅力を一粒もこぼさぬよう、おだやかに丁寧にすくって描いてる。
山下敦弘監督の作る空気感、大好きだ。
説明的になりすぎることなく、いろんな想いが伝わってくる。
田舎の風景や、中学生の描き方が本当に絶妙。
食べ物の描写もおいしそうだったな。観終わってすごくおなかがすいた。

はー、良い作品観たよ。



 
YAMAZAKI Kazuyuki (2014年1月30日 21:36)