百円の恋

ここのところまわりで「アレすごい」「役者やってるなら観るべき」となにかとウワサの映画『百円の恋』を観に行ってまいりました。


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32歳の一子(安藤サクラ)は実家にひきこもり、自堕落な日々を送っていた。

ある日離婚し、子連れで実家に帰ってきた妹の二三子と同居をはじめるが折り合いが悪くなり、しょうがなく家を出て一人暮らしを始める。夜な夜な買い食いしていた百円ショップで深夜労働にありつくが、そこは底辺の人間たちの巣窟だった。

心に問題を抱えた店員たちとの生活を送る一子は、帰り道にあるボクシングジムで、一人でストイックに練習するボクサー・狩野(新井浩文)を覗き見することが唯一の楽しみとなっていた。

ある夜、そのボクサー・狩野が百円ショップに客としてやってくる。狩野がバナナを忘れていったことをきっかけに2人の距離は縮めていく。なんとなく一緒に住み始め、体を重ねるうちに、一子の中で何かが変わり始める―――。


ウワサどおり、というか、思ったよりもはるかに安藤サクラさんがすごい映画でありました。
すさまじい。
自堕落な肉体からどんどん絞って鍛えて俊敏になっていくさまが、心の変化にあわせて見事に描かれている。

成長する過程を緻密に描いてるという点では、先日観た『6才のボクが、大人になるまで。』を思いだしたところもあるのですが、あっちは12年かけて追うという執念。こっちはクランクインからクランクアップまで、2週間で(マジかよ!)なんとか作りこんだという覚悟。

すげえな。
なんというか、魂の映画でありました。

あと、坂田聡さんがゲスで最低な役だったのですが、痛快なくらいすばらしいゲスっぷりでした。イヤだなー、あんな人がバイト先にいたら。

細かいところでは、一子が働く100円ショップで、イラッとするオリジナルソングが断続的に流れているのがかなりストレスを増長していたのだけど、それがあとになって効果的に使われていたのが好印象。


観終わったあとなんだか胸と頭がカッカして、肉っけのものが食べたくなってモツ焼き屋に入ったのでした。

  

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