成れの果て

夜、elePHANTOMoon『成れの果て』を観に、こまばアゴラ劇場へ。

アゴラ劇場の近くには「菱田屋」というすこぶる美味しい定食屋さんがあるので、観劇前にめし食おうと思い、昼めしを軽めに済ませる。
とにかくどのメニューも大変美味しそうなのでさんざん悩んだのだけど、結局前にも食べた豚生姜焼き定食にしてしまった。
うめえ。
腹パンッパン。


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不幸や絶望はもういらない。わたしは幸せがほしい。

早代は東京で生活していた。
ある日、田舎で暮らす姉のあすみから連絡があった。
それは今度結婚するという内容の電話。
「おめでとう。何て人?地元の人?」
あすみは言いにくそうに名前を言った。
「布施野くん...」
名前を聞いて早代は愕然とした。
その男は11年前に早代を強姦した男だった。


はじめて観るelePHANTOMoon。
なかなかドロッとした作品づくりをするというウワサは聞いていたので、ちょい覚悟して観る。

生理に訴えてくるような、生々しい人間の会話。
けれどそれが嫌な感じではなく、エンターテイメントとして昇華されてる感じが素敵。
台詞のない場面の空気感がとてもよかったです。
あと、あまり語りすぎず、お客さんの解釈に委ねる余地を残しているところもまたいい具合。
観終わった人といろいろ話したくなるね、あれ。

たまにこういうエグみの強いような作品を観ると、とても刺激になりますね。
味覚が広がるというか。

BUDOKANにちょいちょい呑みに来てくれる、ブルドッキングヘッドロックの寺井さんがなんとも細かいところまで作り込んだ芝居をしていてすばらしい。
気持ちわるくて人間くさかったよ、寺井ちゃん!(←ほめている)

 
 

いわき総合高校 炊き出し部

土曜日。
いわき総合高校演劇部『あひる月13』の炊き出しに行ってまいりました。

炊き出しといえばカレーかな、とん汁もいいな、なんて思っていたのですが、想像以上に大人数&火が使えないという状況のため、米を炊くのはちょっと大変そうだなと。
んじゃ実家のパン屋からパンを送ってもらうことにしようと思い、クリームシチューを作ることにしました。


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まず12時ころに炊き出し部隊が集まって、買い出しと下ごしらえを。
とりあえずじゃがいもやにんじん、玉ねぎ、サラダ用の白菜を切って、火の通りにくいものは下ゆで。現場に行ってあとは煮るだけ混ぜるだけ、というところまで準備。
そして王子小劇場そばのスタジオへ移動。
IH調理器2つを並べ、鍋5つ分のシチューをガンガン煮ました。
さながらDJ気分で。
順調に仕込みは終わり、公演終えて戻ってくるみんなを待ちます。

[本日のおしながき]
□クリームシチュー
□白菜と塩こぶとツナのサラダ
□調理パン&バゲット
□たまごサラダ(フジサワさん作)
□鶏唐揚げ2種(オリジン弁当)

さすがにどれくらい仕込んだらよいのか見当もつかず、とにかく足りないのだけは避けたいと思っていたのですが、結果少し残るくらいだったので大満足。

自分でも「あのとき食べたアレが忘れられねえ」て味があるのよ。
シチュエーションとリンクして。

東京に出て来て、仲間たちと公演終えて、車座になって食べるって。
「おかわりください!」て言われるたびにニッコニコしてしもうたよ。
まぶしすぎてこっちが気恥ずかしいほどに、むきだし。
みんな訛ってるのがまたたまんねえのよ。

そしてこの日は顧問のいしい先生がお誕生日だということで、生徒たちがサプライズを仕掛けてました。
ごはんをひととおり食べ終えたあと、突然ちょっとした芝居がはじまって、みんなで『暦のうえではディセンバー』の替え歌を唄って踊って。

なんか、もう。
キラッキラの青春よ。


炊き出し部隊で手伝ってくれたロリータ男爵の田辺さんが、100円ショップで買いそろえたザルなどをうまいこと使って、手づくりのくす玉を作ったり。
その出来ばえの素晴らしさにみんな大歓声。


嵐のような怒濤の宴を終えて、宿泊先の入浴時間があるので21時すぎには生徒たちは帰っていきました。
ごちそうさまでした、とみんな口々に言ってくれるのがなんとも嬉しい。
「白菜サラダ、持ってかえっていいですか?」というので、ジップロックに詰めて持っていってもらう。うれしいね。
後かたづけをして、大人たちはおつかれのビールを呑みに夜の街へ。



しかし、本当に楽しかったな。
参加させてもらって幸せでした。
すっかりお母ちゃんの気分。
50人分の炊き出しはどうなることかと思ったけれど、達成感と多幸感に包まれた夜。
自信もわいたよ。
炊き出し、ご要望とあらばいつでも駆けつけましょう。


みんなといつの日か共演できる日を楽しみにしているよ。
そしてお酒が呑めるようになったら、またつまみを作りましょう。

 

あひる月13


いわき総合高校演劇部『あひる月13』東京公演のゲネプロを観に行ってきまして。


この公演、仲よくしていただいているデザイナーの釣巻さんがプロデューサーとして携わっていて、ボランティアスタッフとして手伝える人を募っていたので、炊き出しとかだったらお手伝いできますよ、と。

先日スタッフミーティングがあったときにもちょっと顔を出したのですが、水曜日あたりにまた大雪が降るのではという天気予報に「いわきからバスで向かってくる生徒たちが来られなかったどうするか」とおののいたり。
まあ、祈るしかないね、という結論でしたが。
幸い天候にも恵まれ、遠路はるばるやってきました。


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公演のほうはチケットが残りわずかになっていたので、ゲネプロを観せてもらうことに。

あひる月13の住人は、
脳みその代わりに
なんちゃらの巨人とか、
モンハン4とか、
セブンのシフォンケーキとかとかとかとかが、
詰まっているのでした。


自分が出た高校には演劇部がなかったので、高校生の演劇ってはじめて観たかも。
38人の高校生たちは、なんだかもうピッカピカしていた。
なんだろう、とにかく「表現したい」というやむにやまれぬエネルギーがほとばしっていて、胸が熱くなります。

震災以降の福島に生きる高校生たちの日常を、自分たちのことばで紡いでいる。
等身大の語り口で、よく通るのびやかな声で。
なんだかもう、素敵だよ。
とても面白かった。

ほんとに、いい作品。


明日は食べざかりの高校生38人を含む、50人分の炊き出し。
今までいろんなところで出張クッキングをやってきたけれど、さすがに未体験の領域。
しかもキッチンじゃなく、ちょっとした流し場しかない&火が使えないスタジオにIH調理器を持ち込んでという、なかなかハードル高めな環境で果たして大丈夫なのかという不安もありますが、マチネとソワレを終えて腹ぺこなアイツらをもてなしてあげたいじゃないの。


あったかいクリームシチューを用意して待ってっからよ!

  

雪のバレンタイン

金曜日。

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先週末に続いてまた雪になるとの天気予報。たしかに朝から降り始めている。
しかし今日はランチタイムにARENAでカレーを作り、夜は夜でBUDOKANというべったり下北沢デー。


BUDOKANはビニールカーテンで仕切った、半分屋外のようなオープンエアーなお店なので、オーナーのほうからも「今日、BUDOKAN開ける?」と確認されたのですけれど、ちょっと面白そうかなという気持ちで開けることにしました。
無理そうだと思ったら早々に切り上げるつもりで。

でも今日はバレンタインじゃないですか。
女子たちがチョコレート届けに押し寄せるかもしれないじゃないですか。

というのは冗談ですが、うちの実家のパン屋がバレンタインに合わせてショコラシュトレンという新商品を出したので、せっかくなので今日はみなさんに食べてもらおうと思って持ってきたのですね。


ちょっと早めに行って開店準備をして、ガスファンヒーターをガンガンにたいてお客さんを待ちます。
長靴はいて、ロシアン帽かぶって。

お店のなかはいつもとあまり変わらない感じなんだけど、カーテンの外はちょっと笑っちゃうくらいの雪景色。
でもなんだか、かまくらの中にいるみたいな感じでちょっとおもしろい。

さすがにお客さんも来れないかな、と思っていたけど、なんだかんだでけっこう来てくださって、なんともありがたいかぎり。
なかなかどうして貴重な夜になりました。
遊びに来てくださったみなさま、本当にどうもありがとう。


でも電車が動かなくなって閉じ込められたり、あちらこちらで本当に大変だったのですね。
雪国生まれで見なれてるとはいえ、さすがにうろたえた。
長野のばあちゃんの家のあたりもずいぶん大変なことになっているとのこと。
大丈夫かな。