丘の上、ただひとつの家

月曜日。

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鵺的『丘の上、ただひとつの家』@SPACE雑遊、観に行ってまいりました。

おかあさん
育てる気がないなら
なぜわたしたちを産んだのですか
家族を知らないわたしたちは
ぼんやりとした幸せと不幸をかかえたまま
たださまよいつづけるしかないのですか

幼い頃に生き別れた母を探し出そうという姉と、
会う気はないと抵抗する妹。
見知らぬ肉親の存在を知った人びとは、
それぞれの思惑に乱れ、
葛藤しはじめる。

鵺的が贈る他のどこにもないホームドラマ。


ひとりの母親をめぐる、血のものがたり。
ひとりひとりの人物の、ヒリヒリと痛む皮膚の下にうごめく感情のうねりがすさまじい。

舞台の中心には白い一本の柱が立てられているのだけど、その根元が腐っているという美術が、世界観を深く描いていてすばらしい。
角度によっては人物を隠してしまって、会話する人たちの邪魔をしているという点においても、とても象徴的。

一度バラバラに解体されて、ちがう脚や背もたれで再構築されたオブジェのような椅子もまた、おぞましくも美しい。
やるね、袴田さん。


先日観てきた風琴工房『penalty killing』が動の芝居だとしたら、こっちは静の芝居。
表現のベクトルは違えど、熱量の凄さという意味においては両者譲らず、といったところでしょうか。
公演期間が同じこの2作品を見比べられたのは、とてもよいコントラストでありました。

ふー。
これまた凄い作品を観たよ。
熱量、熱量。

 
YAMAZAKI Kazuyuki (2015年2月16日 16:10)