ショート・ターム


MUの『少年は銃を抱く』の稽古をすすめるにあたって、演出のアユムくんから「「ティーンの繊細さ」「銃と学校」のふたつの軸においてよければ見て欲しい映画がございます」ということで、いくつか課題の映画を紹介してもらった。


そのなかで、いま公開中の『ショート・ターム』がもうすぐ上映が終わってしまいそうなので、あわてて観てきました。
先日、今年の6月をもって閉館するとの発表があったシネマート六本木で。
なかなかいいセレクションをする映画館が、またひとつなくなってしまう。
本当に切ないことだよ。


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物語の舞台は、ティーンエイジャーをケアするシェルター"ショート・ターム"。ここで働く20代のケアマネージャー、グレイス(ブリー・ラーソン)と、同僚でボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)。子供が出来たことをきっかけに、二人の将来はささやかならがも幸せなものになるかと思われました。でも実は、グレイスの心には、たったひとりの信頼できる彼にも打ち明けられない、深い深い闇が横たわっていたのです。そんなグレイスの心を次第に開いてゆくのは、やはり同じように心に傷を負ったショート・タームの子供たちと、新しく入所してきた、頭が良くて優しい少女ジェイデンや、ストイックでまっすぐな少年、マーカスでした。彼らはみな、親からの虐待やネグレクト、いじめを経験し、心を閉ざしてしまったこどもたちです。

誰もが心に悲しい傷を負っているけれど、ここに暮らす子供たちはみんな、心優しくて繊細な少年少女ばかり。そんな彼らのひたむきな生き様を見ていると「ひとりぼっちで生きるのではなく、大切な人と一緒に、明日を生きることが喜びなんだ」と気づかせてくれます。大きくて温かな愛に包まれた『ショート・ターム』は、きっとあなたも大好きな人と共有したくなる、穏やかで柔らかい感動のものがたり。スクリーンから、かつてない「ぬくもり」が溢れ出してきます。


心に傷を抱えたティーンズたちと、それを取り巻く大人たち。
温かく見守って、なんとか子どもたちを闇から救い出そうと手を差しのべるのだけれど、逆に救われているのは大人たち。
そういうこと、あるんだよな。

痛みに揺れ動く心のさまをとっても丁寧に描いていて、大変すばらしい。
子どもたちがみんなすごくよかった、なぁ。ジェイデン役の女の子とか。


もしかしたら自分ではノーマークで観なかったかもしれない作品なので、こうして観ることができて本当によかった。
アユムくん、ありがとうだ。
他の課題作品もTSUTAYAでレンタルしてきて観てみよう。

2015年は、自分の好みに偏ることなく、いろいろな作品を幅広く観て行こうと決めたのでした。
なので「今映画館でやってるコレ、オススメだよ」等あったらどんどん教えてほしいのですナ。


YAMAZAKI Kazuyuki (2015年2月 2日 15:52)