わたしの狂犬百景2016

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MU『狂犬百景』全公演が無事に終了いたしました。
おかげさまで連日満員御礼で、最終的にジャスト1,000人の観客動員だったそうです。
ありがたいことだなぁ。
総力戦でワーッと舞台をバラシて、朝まで皆とワイワイ呑んだ。最高さね。


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今回演じた「田崎ジン」という人物は「謎の狂犬病のウイルスが蔓延した東京で、大学生のころにインドで犬に咬まれたトラウマから、アシスタントたちを利用して野良犬を狩らせ、撮影したムービーを描写の参考にする漫画家」という、なかなか狂った悪人でした。
「作品のなかでダークヒーローとして君臨してほしいんだよね」と。
のちに、真相を知った動物愛護団体の職員に復讐され、見るも無惨な姿になるという。

「狂犬」という存在でつながる4話の物語のなかで、この第3話はまさに起承転結の「転」に当たるパートを担っていまして。
漫画家たちが嬉々として喜べば喜ぶほど、お客さんがどんどん引いていくのが演じながらもすごくわかって、正直ゾクゾクしました。

稽古が始まったばかりのころ、作演出のアユムくんに「また今回も悪い人の役で申し訳ないんだけど......」と言われたけれど、むしろ悪人やゲスな人をのびのびと演じてしまう性質なので、大変楽しかったです。
とはいえ、基本的に動物が大好きなので、犬狩りとかひでえことしやがるなァとはじめのころは思っていたのですが、稽古の途中くらいのころから可愛い猫の写真とか見られなくなりました。なんか気持ちがブレる気がして。
ちなみに、モジャモジャ頭にメガネにヒゲ、というのは、浦沢直樹先生をイメージしてみましたよ。


劇場入りして間もないころ、まだ20代前半の長尾ちゃんが

演劇好きだー!って今叫びたい。笑
そのくらい。なんだろな。好きだよ

とつぶやいていたので、翌日、開演前に全員舞台上に集まってカツ入れをするときに、軽いきもちで「演劇がぁ〜?」と振ったら「好きだー!」とノッてくれて。
それから毎ステージ恒例になりました。


冗談めかして言ったりもしましたが、実はそうなんだよ。
演劇が好きなんだよ。


舞台が終わってしばらくの間はポッカリとした喪失感に襲われるのですが、今回はまたけっこう引きずりそうな気がします。
ただただ楽しいばかりじゃなく、物語を紡ぐ難しさや肚の括り方などを、あらためてヒシヒシと感じさせてくれる、しびれる座組でした。
とりわけ尚吾さん・沈ちゃん・祥平さんの漫画家チームの3人には全幅の信頼をおいていて、思い切り悪人として跳ねられたのは、この関係性が築けたからだと思っています。


魅力的なキャラクターを導いてくれたアユムくん。
ともに戦ってくれた共演者のみなさま。
支えてくださったスタッフのみなさま。
そしてご来場いただき、物語を見届けてくださったすべてのお客さま。


どうもありがとうございました。
またお会いしましょう。


ゾンビ愛とアンセムと

MU『狂犬百景』折り返して後半戦へ。
ここからカウントダウンがはじまって、あとはもう残り少なくなっていくのだなぁと思うとずいぶん寂しい。
あともう30ステージくらいやりたいよ、マジで。全国ツアーとか。
そういえば稽古中、この座組で地方公演に行く夢見たな。「この人数だと15合炊きの炊飯器を2回転させなくちゃ......」と、炊き出しの心配してたよ夢のなかで。


今日のステージは、お客さんの反応が序盤からよかったということもあってか、第一幕から「みんなノッてんな」というのがモニターから聞こえてくる声を聞くだけでもビンビン感じていたのですが。その空気が次々にバトンで渡されていく感覚がありました。
みんなの集中力が充満して、より濃くなったというか。熟成がもう一段階進んだ感じ。
こういうのがあるからこそ、舞台は楽しいなと思うわけです。

あと、たまたま前日にやっていた「アメトーーク!!」の「ゾンビ大好き芸人」がなんともいい相乗効果になったところもあるなぁ、と。
「ゾンビ」がこの作品のモチーフになっていて、ゾンビ好きにはたまらない仕掛けや台詞がちりばめられているのだけど、「アメトーーク!!」のなかでもゾンビ映画に対する愛情が語られていて。たいへんおもしろかった。
共演者の加藤なぎさちゃんがゾンビ映画が大好きで、「お気に入りのゾンビ映画はなに?」と軽いきもちで訊いてみたら、「お気に入りか......難しい質問だな」と、しばし悩んだ末にずいぶん熱く語ってくれました。
ちなみにマイベストゾンビ映画は「ゾンビランド」。ちょうどこないだの休演日に、気持ちを盛り上げようと見返したところ。
ウッディ・ハレルソンが大暴れするシーンは何度観てもスカッとします。
そしてビル・マーレイが最高っすね。


今回の作品のなかで楽曲を提供してくださっている、小説家の戸梶圭太さんが観にきてくださって、こんな感想をTwitterでいただいた。

MUの『狂犬百景』の何が凄いって登場人物のキャラクターと役者さんの顔の一致度がほぼ100%なところです。顔からキャラクター作っていったのかと思えました。観劇慣れしていない自分には連作形式が楽で、非常に濃く楽しめました。私が数年前に作った原始テクノが幕間に流れてこそばゆかったです。

もともとアユム氏とどういうつながりなのかは知らないのだけれど、小説も書きつつ音楽も作ったりとずいぶんマルチな方だな、と。しかもその楽曲がホントに素敵なんですわ。


第二幕から第三幕への転換のとき、この音楽が流れると舞台の袖でひとしきり踊り、テンションを思い切り上げた状態で舞台へと向かってくのです。
サッカーの試合前みたいな感じで。
この曲はアンセムですね。
第一幕から第二幕の転換のときに流れる、ジャジーなベースラインの曲とかも、ドンピシャで好みなんですよね。


あと残すところ4ステージ。
ひとつひとつ丁寧に、余すところなく楽しんでいこうと思います。
当日券も出ますので、ちょっとでも気になっている方は三鷹においでませ。
心よりお待ちしております。

 

レバニラとハムエッグ

MU『狂犬百景』気づけばちょうど前半を折り返しました。

劇場入りしてからがけっこう長かったので、もうずいぶん長いあいだ公演をやっているような気持ちになるけれど、まだ半分なのか。


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三鷹はいろいろ美味しいお店が多くて。劇場入りする前にラーメンを食べたり、お肉屋さんで揚げたてのささみフライを買ったり、大変たのしい。
近くに住んでる友だちから「樹」という定食屋さんが美味しい、とオススメをされて、ちょっとネットで調べてみたら『孤独のグルメ season2』最終回に登場したお店とのこと。
ああ、この回観てた。
猫のホテルの千葉さんが店員さんの役で出演してた回だ。
ちょうど劇場からの帰り道にあって、23時までやっているということだったので、終演後に成川さんを誘って行ってみた。
いろいろメニューがあって悩ましいところだったけれど、ここはひとつスタミナつけておこうと思ってニラレバ定食と、どうしても食べたくてハムエッグを追加で。そしてビール。
成川さんは、カウンターにならんだお惣菜のなかから3つ選べる夜限定メニューの三点定食。
ごはんとお味噌汁・たくあん・小鉢もついてなかなかのボリューム。
ごはんはおかわり1回サービスとのことだったけど、とても入らず。びっしょり汗かきながら食べた。腹ぱんっぱんになった。
地元の人に愛されてる感じのお店。ここが近所にあったら通っちゃうなァ。


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同じ3話チームの共演者、植田祥平さんがTwitterで

特に意味ありませんが...

と言ってこんな画像をアップしていた。
3話「漫画の世界」の登場人物4人のイメージね。
また絶妙な写真をチョイスしてるので、最初に見たとき電車のなかで吹いた。
それ以降、座組のなかで「『狂犬百景』をハリウッドでリメイクしたらどうなるか」というキャスティングが流行っております。


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観にきてくれたお客さんからいろいろ感想を聞いたり、Twitterのまとめを読んだりしていて、「なるほど、こういう解釈があるのか」と思うことばかりですね。
おもしろいなぁ。
そういえば、2014年の初演を観たときの日記が出てきた。
そうだ、「それ俺だよ俺俺」と思ったんだった。

共演者のみんなと呑みながら話してて、「山にょさんのあの役やりたい」と口々に言われた。ありがたいことだよ。
佐野くんには「今まで観た山にょさんの役のなかでいちばんかっこいい」とも言われたけれど、よくよく考えてみたらアイツ、共演したとき以外で山にょの芝居観たことないぞ。


13年前に、ここ星のホールで上演したKERA・MAP『青十字』で、ゲスで非道な警官の役をやったときの感覚が自分のなかですごく強く印象に残っていて、それ以降悪い人やゲスな人を演じるのが楽しくて仕方なくなったのですが、今回もまた今後の道しるべ的な役になるんだろうなぁ、となんとなく思っています。

ぜひ、観に来ていただきたいのだ。

残すところあと5ステージ。
チケット予約フォームは公演前日の0時まで。それ以降は個人的にご連絡いただければ受付にご用意いたします。

ぜひとも、お待ちしております。
そして終演後になにか食べて帰りたい、もしくは開演前にちょっと食べたいんだけど、などという質問にもお答えいたしましょう。

 

コーヒーとケーキ

MU『狂犬百景』2日目。

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大塚尚吾にいさんが丁寧に淹れてくれる、誰が名づけたか「すけべコーヒー」。
毎日2ℓのポットで持って来てくれるのだけど、あまりの人気でものの30分くらいでなくなってしまうので、いよいよ道具一式を楽屋に持ち込み、ケータリングコーナーで豆を挽いて淹れてくれるようになった。
廊下にただよう挽きたての豆の香りよ......。
やっべえですよ。どすけべ。
昨日あらためて、尚吾さんがもうすぐ45歳ということを知ってマジかよと思った。憧れるワ、あの渋さとエロス。

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そして今日は、同じ呑もうぜグループでも働いている、"美少女"星秀美ちゃんがお誕生日ということで。
朝から舞台監督の松澤さんとコソコソ打ち合わせをして、サプライズの段取りを組む。自分は古屋敷くんといっしょにケーキを乗せるテーブルを運ぶ係。
ろうそくを吹き消したところで、紙吹雪がボンッと発射され、みんながクラッカーを鳴らすという流れ。

終演後に客席に集合して、洗濯について衣装係のみみさんからのアナウンスがあったあと、おもむろにハッピーバースデーの曲が流れ、演出部のあきくんがケーキを持って登場。あとは打ち合わせのとおり。
作・演出のアユムくんも明日の休演日がお誕生日だというので、いっしょにお祝いしたかったのですが、なんとも残念なことに仕事のために終演後にすぐ劇場を出なくちゃいけないということで。
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みんなで集合写真を撮ったけど、あとで合成しやすいようにとアユムくんのスペースを空けておく。


今日はマチネ公演のみ。そして明日は休演日ということで、お客さんもまじえて三鷹の街にくり出しましたよ。
いろいろ感想を聞いたり、「今日あそこのシーンでさぁ......」とか出演者同士で話したり。
ずいぶんゴキゲンになっていたようで、気がついたら家の畳の上で寝落ちしてた。

今回4話のオムニバス作品ということで、稽古はそれぞれのチームごとに進めていました。
自分の出演するチーム以外ではほぼ話す機会もなかったりしたのですが、今回劇場入りしてからの時間がありがたいことにけっこう長かったのと、仕込みもみんなで協力してやっていたということもあって、この1週間で急にみんなとの距離が近くなった感じがありますな。

これだけの手練れが揃って、個性がいい具合にてんでバラバラなのが非常に楽しい。
そして互いにリスペクトしあっているのが気持ちよいですね。
ああ、いい座組だよ。
あと30ステージくらいやりたい。

こちらのTwitterの感想まとめなど、いろんな人のことばを賛否両論どちらもありがたく拝読しております。


休演日開けの火曜日以降、まだチケットはございますので、お気軽にご連絡ください。
受付にご用意いたします。


スケジュールが空いててもし迷っているようでしたら、ヒュッと三鷹までいらしたらいいと思うんだ。
22人の渾身の作品、コーヒーの香りとともにお届けいたしますぜ。