高木珠里の百物語

夜。
『高木珠里の百物語』@新宿眼科画廊を観に行ってまいりました。


takagi100vol1_omote.jpg
御来場、またこのサイトを御覧いただきありがとうございます。
「高木珠里の百物語」の高木珠里です。

ひとり芝居はこれで三度目になりますが、どれとも違う、又最も困難なものとなりました。挑戦以外の何ものでもありません。 ひとり芝居をやっていつも思うのは「一人だけど一人じゃない」。

それは勿論、今回一緒に旗揚げた演出 村井さん、 宣伝美術の寺部さん、着付けの詩森さん、照明の黒太さん、制作協力の長谷川さん、そしてまだまだ大勢、お力添えいただいた皆様、お客様と共に造り上げるものだ、ということの他に... 今回は、アノ方無しでは絶対にあり得ない演目となりました。
ただただ、私からアノ方への愛が溢れた90分。

どうぞお楽しみください。


以前は「演劇100人組手」と称して、100人を相手にぶっ続けのエチュードをやるという、正直どうかと思うほどの役者魂をもった珠里さん。
今回は三遊亭圓朝の『怪談牡丹燈籠』に挑むという。

いろんな人を演じ分けつつ、ちょいちょいいろんなサムシングもはさみつつのぶっ続け90分。
もう、演じる珠里さんの顔が面白かったり、「アノ方」への溢れる愛が素晴らしすぎたり、でお話の内容はあまり頭に入ってこないのですが、なんというか全く途切れない「圧」がすさまじい。

普段呑みながら話す席などでも、ちょっとしたエピソードを語るときにも「演じて」話して観せてくれる珠里さんにとって、90分ぶっ通しは特に困難なことではないのかもしれないですね。
まだまだ話し足りない感じだった。

開幕ペナントレース村井雄さんが、どんな演出の仕方だったのかというのもなかなか気になるところですが、ちょいちょい観ながら「これは世界中どこに持っていっても受けそうだな」というのを思ったのは、村井さんの手腕か。詩森ろばさんの着付もあるか。


同じ回を観に来ていた、鵺的の高木登さんが

珠里さんの演技を見ていると「北島マヤってこういうことなんだろうなあ」と思います。

とTwitterでつぶやいてましたが、観ながら同じこと思っていました。
千の仮面を持つ女優。まさに「珠里......恐ろしい子!」ですよ。


ふー、すごいもの観せていただきました。
もはや体感型アトラクションと言ってもよろしいかと。

  

箱の裏には。


おかげさまで無事終演いたしました。
千穐楽のステージでは、楽屋に引っ込んだあともなかなか鳴り止まぬ拍手にあわてて舞台に戻り、晴れやかさと面映さで客席が見られなかったよ。
ほんと、うれしかったです。感無量。


IMG_8832.jpg
「毒島美来」というひとりの女性が生きて来た、1985年/2000年/2015年の3つの時代を同時進行で見せながら描くという舞台で、「あのときこうしていれば......」というターニングポイントを振り返りながら「それでも生きていく」という物語。

「実はこんな設定でした」と種明かしをしたあとに気づく、緻密にはりめぐらされた伏線なども非常に好みでした。
繰り返し観るとまた一層楽しめるような作品だったと思うので、もうちょっとロングランでやりたかったくらい。


hakama_03.jpghakama_01.jpghakama_02.jpg
下っていると思ったらいつのまにか上ってる、エッシャーのだまし絵と「箱」をモチーフにした袴田さんの美術がとても素敵で。
はじめて舞台のイメージを観たときのワクワクと、劇場入りしてそれが実際に組み上がったときのドキドキがすごかったです。


IMG_8824.jpg
わたくしの役どころとしては、資延(すけのべ)という裏でいろいろ暗躍する、悪くてうさんくさい、いやらしい政治家の役でした。
4月のMUの変態体育教師に続き、ああいうイヤーな悪い人の役は本当に楽しくて。
嬉々として演じてしまいました。
「山にょさんが自分の得意なところにハマったときにキャッキャしながらやってる感じが、コイツばかかよ、と思いましたww」と本番中の宴席で古川くんに言われたよ。


とはいえ、もともとのガリッガリの不健康な体型では政治家としての説得力がないよなと思い、今回はじめて「体重を増やす」という役づくりをしてみたのですね。
鈴木亮平さんや安藤サクラさんみたいなアプローチが自分もできんのか、という挑戦の意味も込め。

週に1度くらい食べていた夜中のラーメンを週に4回くらいに増やし、コンビニでエクレアやチキンを買って稽古の合間に食べたり。
「寝る前のカルボナーラが効果的だよ」と聞いたので、ちょいちょい作って食べたり。

と、正直そこまでストイックな感じではなかったのですが、なんだかんだで3週間くらいで8kg増えた。
残念ながらなかなか顔につかない体質なので、パッと見ではあまり気づかれなかったのですが、おなか周りがポッコリ出たのがなんとなく自信につながったところはあったのかな、と。
だらしなーい身体になりました。
これ、また元に戻るのかな。


座組のみんなは、普段は奥ゆかしいんだけれどいざ芝居の稽古に入るとまったく遠慮がなく。
台本の読み込みや、登場人物の背景をいかに深く色づけるかということに対し非常に貪欲で。
なんというか職人気質の人たちが揃ってるなという印象でした。
舞台にしろ映像にしろ、現場が終わったときに「この作品に参加できてよかったな」と思うきもちは毎回何かしらあるのだけど、いろいろ収穫できた作品でありました。


元々、古川くんがARENA下北沢で月に一度DJイベントをやっているときにスタッフで入ったりして、面識はあったのだけど箱庭円舞曲の舞台は観たことがなく。
今年2月の駅前劇場での公演『必要とされていると思う病気』をはじめて観て、語るところ/語らないところの線引きがとても素敵だな、とても丁寧に作品を作っているな、と思い。

しばらくして古川くんと会ったときに「すごく面白かったです」「今度ワークショップやオーディションをやるときがあったら教えて」と伝えたら、今回の公演に向けてのオーディションにお声がけしてくれたのが5月くらいだったか。
そのオーディションでやったエチュードが本当に楽しくて、後日「11月よろしくお願いします」と直接電話がかかってきたとき、代田橋の居酒屋で小躍りしたことをとてもよくおぼえています。


ほんと、終わっちゃうのが名残惜しかったよ。
あと32ステージくらいやりたかったよ。


あらためまして、ご来場くださったお客さま。
表に裏に、熱い想いで支えてくださったすべてのスタッフのみなさま。
ともに闘ってくれたキャストのみなさま。
そして軽やかに躍らせてくれた古川さん。


どうもありがとうございました。
謝辞。

 
 

折り返しまして。


カーテンコールのあたたかい拍手に胸ふるわせ、終演後の興奮さめやらぬお客さまの声を聞いて、しみじみとこの作品に携われてよかったなと感じております。
Twitterでのいろいろな感想もまたありがたく。ネタバレしないように書くのも難しかろうと思うのですが、みなさまのなかなか熱いつぶやきをしかと受け止めております。
肯定的なものばかりでなく、否定的なものも真摯に。
こちらのほうでまとめられてますので、どうぞご覧ください。


なかなか酒の呑みっぷりのいい人たちの集まった座組なので、連日どこかしらの酒場でお客さんも交えて酒を酌み交わす日々。

日曜日はマチネのみだったので、電車の時間も気にせずゆっくりごはんを食べられそうだなと思い、「珉亭」のお座敷に行きませんかと提案してみたら、キャストもスタッフさんもよろこんで来てくれて大変うれしい。
普段一人で行くとだいたいラーチャンばかり食べてしまうのだけど、ここはほんとにいろんなメニューが美味しいので、大人数で行ってあれこれ食べられるのがすごく楽しいのですね。
海の家みたいなお座敷席で、ぶっきらぼうだけど味のあるおばちゃんの接客で。
ああ。
最高ですよ、珉亭。


IMG_8813.jpg
写真撮りそびれたので、土曜日のソワレ前の腹ごしらえで入ったマジックスパイスの写真を。
チキンの天空、チーズと納豆トッピングで。
いつもは辛さレベル「虚空」にするのだけど、本番前の胃腸を気づかってひとつ下のにしておきました。
あいかわらず美味いよね、マジスパも。
ひとりで食べてたら、後から奥のほうのテーブルに古川くんやスタッフさんたちもいらしてた。ここもまたみんなに愛されているお店ですな。劇場のすぐそばだしね。


しかし、まあ。

本番中はどうも集中力が舞台のほうに向いているので、日常に歪みが出てきてしまい。
前回ごはん部のときは家に財布を忘れて出かけてしまって、吉祥寺の駅でバッタリ会った友だちに1,000円借りる、なんてことをやらかしたりしたのですが。

金曜日の終演後、劇場を出てBUDOKANで一杯呑んでるときに、楽屋の棚に財布を置き忘れたことに気がつく。
もう劇場も閉まっていたので取りに戻ることもできずで、とりあえずお金を貸してもらう39歳。
ナニやってんだかなぁと舌打ちしつつ、翌日土曜日は気をつけて財布を忘れずカバンに入れたのですが。
日曜日、また楽屋の棚に置き忘れて帰った。財布。

なんなの?
ばかなの?

劇場スタッフさんがまだいらしたので確保できたのですけれども。
もうウッカリのレベルじゃないよ。こわいよ。
今回、稽古場でも一度コンビニに置き忘れたりしてるんだよ。
首からぶらさげとくか、もう。


さて、いよいよ残すところ千穐楽の1ステージ。
あと32ステージくらいやりたいところですよ。ほんと。

予約フォームからの受付は終了してしまってるのですが、直前でもご連絡いただければご用意いたします。
当日券も出ますので、駆け込みでもぜひいらしてください。


最後の最後までより高みを目指しつつ、
気負うことなく粛々と。


そして今日は財布を忘れまいぞ。

 

もっと男前だった

箱庭円舞曲『もっと美人だった』、公演3日目。

IMG_8778.jpg
今日のマチネは、15周年記念の古川貴義主演舞台『もっと男前だった』の上演。
短編のひとり芝居と、ザンヨウコさん扮する"ザン柳徹子"がMCの「徹子の部屋」、キャストがお題を出してそのムチャ振りに即興芝居で応える「#箱庭円舞曲のタイトルっぽい芝居」となかなかもりだくさんではあるけれど、我々キャスト陣はほんのにぎやかし程度なので気楽な感じで劇場入りして軽く場当たり。

ひとり芝居のパートはキャスト陣も客席で観る。
今回の本編の内容ともリンクする登場人物の人生を、5つの場面に切り取ったもの。
思いがけず、より本編の世界観が深まる手がかりになりました。
役者だけに専念して舞台に出るのは2年ぶりくらい、と言っていたけれど、なかなか嬉々として演じていたよ。


ひとり芝居が終わって、おなじみのあのテーマ曲に合わせてザン柳徹子さんが登場したらもう爆笑。そこからの徹子さんのモノマネのクオリティの高さにうなる。相当仕上がってた、なぁ。おもしろかった。

その後キャスト陣も舞台に呼び込まれてのコーナー。
昨日の日記にも書いた「#箱庭円舞曲のタイトルっぽい」ハッシュタグで集まったタイトルのなかから、事前にそれぞれが好きなものを選んで画用紙に書き、古川氏に指名されたらオープンして、それをテーマに古川氏が即興で演じる、という。
こりゃ相当スリリングだわ、と思いながらも、お題を出すだけの我々は非常にのんきに楽しむ。

やあ、なかなか楽しいイベントでありました。
追加公演でやってもいいんじゃないか。


なんだかフワッとしたテンションのなか、夜公演の準備。
「これで本編のほうがグダグダになったら、古川さんのせいってことでいいよね」なんて冗談を飛ばしてましたが、みんなリラックスしていい感じの舞台になりました。
カーテンコールの拍手が鳴り止まず、すわ、ダブルコールか? と一瞬色めきだったのですが、退館時間の都合もあって残念ながら応えられず。


IMG_8787.jpg
終演後お客さんを交えて、いろいろな感想を聞きながら楽しく呑む。

本編の演出をしながらひとり芝居の準備もしなくちゃいけなかったので、劇場入りしてからもなかなか思うさま酒を楽しめなかった古川氏もようやく解放されて非常に楽しそう。
「今日12時から風知空知でDJやるんだけど、おヒマな方がいたら遊びに来てください」と言い出したので、そりゃ行かざるをえないでしょ、ということに。
終電くらいまでちょっと、のつもりが、アッパーなJ-POPに一同躍らされ、まんまと電車を逃して結局2時半くらいまで。

ダンスフロアの華やかな光のなか、イージードゥーダンスでヤーヤーヤーでした。
楽しかったけど、これ、明日マチネとソワレを控えてる役者たちがやったらダメなやつだよね。
普通だったら演出家に怒られるやつだよね。
正直どうかしてると思うよ、古川くん。


ふー。
明日からの後半戦も楽しんでいきましょ。


おかげさまでチケットの残りが少なくなってきたようでして。
今後なかなか取りづらくなるかもしれませんが、なんとか確保するよう務めますので、是非ご連絡くださいませ。
お待ちしてまーす!!