高田世界館のはなし

帰省4日目。

実家に帰るたびに行きたくなる、高校生のころからよく通っていたラーメン屋さん「ながさわ」が年明けに営業しているということだったので、東京に戻る前に食べに行く。
寒い地方ならではの、脂っこくてしょっぱいラーメンが好きなのは、この店の味になじんでいるからでしょう。
東京だと下北沢「一龍」の味がいちばん近い感じ。
いろいろ新しい気鋭のラーメン屋さんもオープンして、地元の人気店として定着しつつあるのだけど、どうしても行きたくなるのは昔からのなじみのお店になっちゃいますな。
満足。


新幹線の時間まで少しあったので「高田世界館」という映画館にちょっと顔を出してみる。

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今年で105歳になるという、現役で稼働しているところとしては日本最古レベルの映画館。

以前はたまにイベントなどのときに映画を上映したり、ライブや落語会をやったりするけど、ほとんど稼働していないような感じだったのですが、この数年前くらいにまだ20代の上野迪音さんという若者が支配人として就任してから大きく生まれ変わったのですね。

Twitterで流れてくる上映作品に「おお、アレやるんだ」と唸ったり、『野火』の上映に合わせて塚本晋也監督をトークショーに招いたり、なかなか張り切っているなとSNSごしに見守っていました。
去年の秋にNHKの「U-29 人生デザイン」という番組に取り上げられたのを見て、一度お話してみたいなと思っていたのですね。

昔ながらの歴史ある映画館の雰囲気を損なうことなく、寄付金を募ってトイレを綺麗なものに改装したり、ロビーに手づくりの壁新聞みたいなものを置いたり。
映画の上映に合わせて、地元のレストランとタイアップしたメニューを出すような企画を組んだり、映画の予告編も自ら編集したりするとか。
昨年上映した作品のラインナップや、ちょっとお話をしていても「ああ、この人相当映画を愛してるんだな」というのがビンビン伝わってきます。

もともと積み重ねてきた立派な歴史のある映画館なので、こういう働きかけで再生して、新しい文化の発信源となっているのが本当にすばらしいことだと。

「微力ながら、自分のまわりの映画好きな人たちにも紹介していきますね」と、ガッチリ握手をしたときの上野さんの手が熱かったす。
今度ゆっくりお酒でも呑みましょう。

上越にお立ち寄りの際は、ぜひ足を運んでみてください。
とても、すてきな映画館なんです。



午後の北陸新幹線に乗って東京に戻る。
ギュウッギュウで立ちっぱなしだったらキツいな、と思ってたけど大丈夫だった。

今回の正月3泊4日の帰省は、家族といろいろ話せていい機会になりました。
なかなかこの年齢になると、考えなくちゃいけないこともいろいろありますわな。
ホントもうすぐ40歳になろうってのに、いつまでたっても頼りなくて申し訳ない。


精進します、と気持ちも新たに。
また東京駅に降り立ったのでした。

 

スチームパンク、鍋、漫勉

ダラダラ寝てすごす正月もすぐ飽きるっすね。
パソコン持ってきててよかったよ。
ことしは暖かくて雪も全然ないので、どうも正月に帰ってきたという実感もうすいんだな。


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夕方から、車で30分くらいのところにある日帰り温泉に行く。
前にも行ったことあるけれど、この温泉まで行く途中にある古いコンクリート工場の前を通るたびに車を停めてもらって写真を撮りたくなる。
ジブリ作品に出てきそうなというか、スチームパンクというか。
これがまだ現役で稼働しているというのがすごいね。


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温泉であたたまったあと、ヒマなので晩めしを作る。
「家にある食材でなんとかすませて」というリクエストだったので、肉だんごと豚バラと白菜の中華風鍋、牛肉と舞茸のバター醤油炒め、ぶり刺身。
あとはおせちの残りでちびちび晩酌。


夜中にNHKで「浦沢直樹の漫勉」の再放送をやっていたので見る。
前に放送していたときから、周りで「あの番組は面白い」とすこぶる評判がよくて、昨日の東村アキコ先生の回を途中から見て、こりゃ録画してくればよかったと思ったのですが。

世界中に熱狂的なファンを持つ、日本の「マンガ」。
漫画家が、白い紙にドラマを描き出す手法は、これまで門外不出のものだった。
さらに漫画には、決められた手法はなく、漫画家それぞれがまったく違うやり方を、独自に生み出していると言う。

この番組は、普段は立ち入ることができない漫画家たちの仕事場に密着。最新の機材を用いて、「マンガ誕生」の瞬間をドキュメントする。
そして、日本を代表する漫画家・浦沢直樹が、それぞれの創作の秘密に、同じ漫画家の視点から切り込む。

日本の漫画家のペン先を、世界に届ける。
それが「漫勉」。

漫画家の先生たちがどんな手法で描いているのかを紹介し、それについていろいろ語り合うという。

浅野いにお先生はデジカメで撮った写真をPhotoshopで補正をかけ、それをさらにプリントアウトしたものに細い線を手書きで書くことで、アナログの厚みを加えていく、という。
一方でさいとう・たかを先生はほとんど下書きもなく、太いマジックでいきなりゴルゴの眉毛から描きはじめ、修正のホワイトをタバコの火で乾かす、というなんとも豪快な描き方。

このこの新進気鋭とベテランの2人を続けて見られたのは非常に興味深かったすね。コントラストの妙というか。
ホスト役の浦沢直樹先生の立ち位置がまた絶妙で。
第一線で戦っているからこその、語ることばと話の引き出し方に説得力があるというか。

あと、浅野いにお先生に似てるというのをこれまで何人かに言われたことがあるけど、なんとなく納得。


やあ、これはいい番組ですなぁ。
3月からのシーズン2も非常にたのしみ。誰が紹介されるのでしょう。

 

ザッツ寝正月

寝正月。

ツイッターのタイムラインに上がってくる、いろんなおうちのお雑煮画像を眺めるのが楽しいですナ。

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実家のお雑煮は、鰹と昆布の醤油ベースの澄んだお出汁に、角切りのお餅を焼いて。大根・にんじん・鶏肉・かまぼこ・謎のきのこ、飾りで三つ葉とゆず皮といくらを載せて。
いただきものの謎きのこがヌルッとしてて美味しい。

あと、この「日本全国お雑煮図鑑」というのが楽しいので、いくらでも見てられる。
日本全国、いろんなお雑煮がありますなァ。


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昼ころ、山に住んでるばあちゃんのところにご挨拶。
今年は年女ということで、96歳になるばあちゃん。ひさしぶりに会ったけれど、元気そうでなにより。

以前『滝を見にいく』のロケ地にもなったところの近くで、スキー場もそばにあって雪深いエリアなのだけど、今年はあんまり雪が積もっておらず。
除雪車を間近で見ると、重機好きとしてはワクワクしますね。『マッドマックス』に出てきそうな。


ほい。
映画の話が出たところで、2015年に映画館で観た映画をふりかえり、印象に残った作品10選(順不同)。

・『キングスマン』
・『ニンフォマニアック vol.1 / vol.2』
・『シェフ!』
・『恋人たち』
・『劇場版 復讐のドミノマスク』
・『ナイトクローラー』
・『ジュラシック・ワールド』
・『6才のボクが、大人になるまで。』
・『セッション』
・『海街diary』

2015年公開じゃないのもありますが。
なかなか話題作ぞろいの2015年でした。

『マッドマックス 怒りのデスロード』『バードマン』『百円の恋』あたりは次点で。
『MOOSIC LAB 2015』で『マイカット』といっしょに上映された『劇場版 復讐のドミノマスク』が掘り出し物的な感じでした。2作品のコントラストがまたよかった。コッテリしてておもしろかった。

でもけっこう見逃したのもあったなぁ。

今年も映画館でいろいろ観ていきたいなと。
まずは『友だちのパパが好き』が早く観たいところです。あとタランティーノの新作も楽しみ。

 

ホーフ2016

謹賀新年。
2016年、あけましておめでとうございます。
今年も何卒よろしくお願いいたします。


3年連続でBUDOKANで年またぎ。
入れ替わり立ち替わりでいろんな人が来てくれたりシャンパンが開いたり、おかげさまでなんとも賑やかな大晦日になりました。
やいのやいので、明け方6時くらいまで営業。

いつもウトウト寝落ちして、渋谷⇆吉祥寺を行ったり来たりしがちな明け方の井の頭線でなんとか無事にたどり着き、その足でそのまま家の近くの神社で初詣。
けっこう大きな神社で相当にぎわうのだけど、朝早くの時間はさすがに空いていて、心おきなくお参りしてきました。
おみくじは「吉」。
「心すこやかにすごしていれば大抵の願いは叶うけれど、あんまり調子こいて高望みしすぎるとダメだからね」的なことが書いてありました。はーい。


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家に帰ってひと眠りして、今年の正月はひさしぶりに実家に帰ることに。
しばらくボヤボヤしてたらけっこういい時間になったので、あわてて家を飛び出し、東京駅でカツサンドと缶ビール買って新幹線に乗り込む。
今年の目標のひとつとして「できるだけ本を読む」というのを決めたので、野坂昭如「エロ事師たち」をかばんから出してパラパラとめくっていたとき。
「あの......山崎くん、だよね?」と声をかけられて、一瞬誰だっけと躊躇してたら「代ゼミの寮で一緒だった、倉又」と。
となりの席が空いてたので、いっしょに話しながら帰る。
もう会うのも20年ぶりくらいになるので「すごいねよく気づいたね」と言うと「見覚えのあるブーツだったので」と。そうだ、予備校生のときに買ったんだ。

代々木ゼミナール新潟校の寮に入って1年間浪人していたのだけど、あの1年が異常なくらい楽しかった。
はじめは同じ高校から来た友だち同士でつるんでいたのが、だんだん他の輪が広がって。
テレビもなく、携帯もまだない頃だったので夜な夜な誰かしらの部屋に集まっては、マンガやエロ本を回し読みしたり。
毎日修学旅行みたいで、ホント勉強しろよって感じですけどね。
そしてエロ本のことを倉又は「エロぼん」て言ってたよなそういえば、といろんな記憶がよみがえる。

互いの近況を報告しあったり、あいつナニやってるんだろね、という話をしたり。
「今度ひさしぶりに代ゼミのみんなで呑もうよ」という約束をして別れる。
ああ、楽しかった。
家でボヤボヤしててよかったよ。


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夕方18時ころに実家に帰ってきて、家族でおせち料理をつまみながら酒を呑み、いろいろ話す。
基本的にマイペースで自己中心的、典型的なB型の4人なので、会話が噛み合わないのはいつものことなのだけど、毎度毎度エネルギーを使う。

ま、いつまでたってもフラフラしてるもんで、そりゃ親や姉としては心配になりますワな。
もうちょっとでも安心させられるよう、精進します。

家族と酒呑んでるときは「酔っぱらってグダグダになった姿を見せるわけにいかん」というスイッチが入るみたいで、シレッとした顔してぐいぐい日本酒を呑んでしまいがちなのですが、けっきょくほぼ父と2人で1升と半分くらい空けたら、さすがに終盤は記憶がぐらぐらに。


ふう。
2016年、スタートからなかなかカラフルでございます。

今年の抱負としては、俳優としてはどんどん積極的に攻めていくと同時に、ひとつひとつの仕事の質をより向上させていきたいですね。芝居の質はもちろんのこと、現場でのコミュニケーションのとり方とか。
そして「自分のお店を持ちたい」という、昔からの野望を実現するべく具体的なアクションを起こしていこうと思っております。
これ、2013年の正月の日記読んだら同じこと言ってたんだけど、より具体的に。

あとは「本を読む」と「日記をなるべく更新する」ね。

よーし。
やるぞー。
 

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